理論と統一
東洋医学 鍼灸ジャーナル 2008年7月号 緑書房
忘備をかねて気になったところのメモです。
松田博公・対談シリーズ「日本鍼灸を求めて」 第3回
松田 『素問』・『霊枢』には、触診をちゃんとしろという記載がありますよね。そういう意味で現代中医学は、触診を無視し過ぎている。中国では『素問』・『霊枢』以降の発展段階で、図式的、観念的要素が強くなったんだと思います。パターン化した理論図式に当てはめて理解するのが、中国人の強固な固有思想ですから。現代に至って、中医学は西洋医学の影響を受けてさらに理論を精緻化させ、図式化をいっそう徹底させた。日本人は、逆に縄文時代から理論不信で、触ってみないと信じない。それこそ、ごちゃごちゃ理屈を言うな、という実感主義ですね。 55ページ
中国は「理論」と「とにかくなんでも統一(図説マルマ 伊藤武著より)」することが好きなようです。
例えば現在の中医学では経絡の概観として十二経脈、十二経別、奇経八脈、十五絡脈、十二経筋、十二皮部があるとされています。最初の十二経脈の流注(ルート)だけでも複雑です。古典である素問・霊枢は一人の著者が書いたのではなく論文集と言われています。色々な考えを無理に統一してしまった面があるのでしょうか…。
単純化していく、あるいは曖昧なまま捉える日本とは対象的ですね。
愚解経脈論 基礎編(3) 木田一歩著 90、91ページ より
絡脈について、中医学では経脈の絡穴から分れる支脈で、表裏二脈の経絡を連絡、強化するとされ、その大きなものを大絡(十五絡脈)と呼び、さらに表面に浮いたものを浮絡、最小のものを孫絡と呼んでいます。
こちらでは絡脈と十五絡脈は別のルートと考察されています。
「経脈、絡脈、孫脈の各名称は、臓腑より出入りして四肢あるいは頭部に走行していく流注における走行の脈の深さを表す記号」
一番内側を経脈、その外側に絡脈、さらに体表近くが孫絡で臓腑から発した胃の気の密度(湯気のように体表に近づくにつれ疎になり拡散していく様子、胃の気の密度)を表しているのではと説明されています。
ドキュメンタリー「近代鍼灸史」③ 油井富雄著 81ページ
明治から昭和にかけて活躍された鍼灸師の沢田健先生(明治10~昭和13年)と竹内文書の影響について紹介されていました。こちらも興味深い内容でした。