2025年6月13日金曜日

日本伝統鍼灸学会


日本伝統鍼灸学会50周年記念誌 日本伝統鍼灸学会編 令和5年


昭和48年に発足された日本経絡学会(経絡治療研究会・東洋はり医学会)が平成8年に
日本伝統鍼灸学会と名称変更されたそうです。


「新版 東洋医学臨床論」に記述された鍼灸臨床について思うこと 篠原昭二著

「大学で「東洋医学臨床論」の授業を担当していることから、テキストとして採用した教科書を見て、「日本鍼灸は中医学か?」と、少なからず驚いた。テキストである以上、その影響力は次代を担う鍼灸師全てに及ぶ。」 122ページ


私が鍼灸の学校に通っている頃、日本の鍼灸学校の教科書は年々この中医学の影響が強くなっていると聞いていました。

当時は中医学について「最近に中国がまとめたもの」ということくらいの情報しか無かったと思います。

中国が何をどういった意図で編纂したのか?という基本的なことすら殆ど知らないまま、なぜか日本の鍼灸学校の教科書は中医学色を強めて行き、2015年からは「東洋医学概論」の教科書は中医学そのものになってしまったそうです。

いったい誰のどういった意向でこのようになってしまっているでしょうか…。


日本伝統鍼灸学会の沿革 浦山久嗣著

「また、この時期は中国の国策によって現代中医学が世界的に普及した時代であり、「中国鍼灸」が世界遺産となったのみならず、日本の鍼灸臨床のスタイルも経絡治療から現代中医鍼灸へと急速に変化していった時代でもある。
 もともと、鍼灸治療については江戸時代以前から日本の鍼灸スタイルが欧米へ紹介されるだけで、中国の鍼灸スタイルが世界的に注目されることはほとんどなかった。」 6ページ

「国策によって近代日本型のドライニードリングや経絡治療の影響下に新たに造り出されたものである現代中医鍼灸が、今世紀に入って一気に世界中に普及していったことは驚くべきことである。」 6ページ


中国の鍼灸(湯液・漢方薬も)は清代の政策で壊滅的に衰退したようです。その後、日本から鍼灸を学び取り入れ、さらに中西医学統合などの政策を経て、中国共産党の国策として新たに創出され、世界的に宣伝普及されて世界遺産となったのが中医学です。

もちろん中国側は日本の鍼灸から学んだことなどは絶対に隠しておきたい秘密でしょう…。


クォ・ヴァディス、どこへ行くのか? 松田博公著

「… 中医学(TCM)の世界戦略に呪縛されつつも、各国に芽生える期待に応えて、日本鍼灸の地球的な価値を打ち出すべきこの時に、われわれは、どこへ行くのか。
 何よりも、置き去りにされた課題があると、わたしには思える。なぜ、「日本鍼灸学」を構築しようとしないのか。」 135ページ


日本の伝統医学(漢方・鍼灸)も明治の政策やその後の時代の影響により大きな打撃を受けてきましたが、何とかこれを残そうと苦労され工夫を重ねられてきた先人のお陰で今があります。

日本の伝統を踏まえた日本鍼灸の教科書が一日も早くできると良いですね。