道教と不老長寿の医学 吉元昭治著 平川出版社 1989年
道教は後漢の終わり頃に起こったとされる宗教です。道教に中国医学が取り入れられたり、中国医学も道教の影響を受けてきたようです。
「この『黄帝内経』素問の初めをかざる一文こそ、道教と深いかかわりがあるのではないかと考えたのである。しかし、今までの多くの『黄帝内経』についての書をみても、この点に注意を払い、解釈しているのは、皆無に等しい有様であることもわかった。」 2ページ
素問の初め上古天真論には「昔々、黄帝は ~ 天に登っていった」とあります。これを道教の視点からみると、仙人となって天を自由に駆け巡り不死身となった(不老不死)と解釈できるそうです。
「時の唐朝が道教を崇めたことから、この王冰は、私は道教徒であったと思っている。」 242ページ
そして王冰は道教的な表現のある上古天真論を巻首にもってきたそうです。
「華佗の名は、その発音からして、古代ペルシャ語ににているので、彼は西域人ではなかったかという説もある。ヘロドトスの『歴史』をみても、スキタイ人は、麻薬のようなものを使用していたらしいから、かの麻沸散もこのようなルートがあったかもしれない。」 228ページ
また五禽戯(ごきんぎ・虎・鹿・熊・猿・鳥の動作を取り入れたもの)という導引(体操・気功)を作ったとも言われています。
奇経八脈考を著した李時珍(1518~1593年)も道教に近い人だったようです。奇経には道教でも重要視される任脈、督脈が含まれています。
「中国医学に与えた影響は、道教だけとみるのも誤りで、西域の影響、仏教の力も大きく作用したことを見逃してはならない。」 15ページ
隋書・経籍志(隋・581~681年)にはインドの龍樹や耆婆(ギバ)の名を関した薬方などの書があげられているそうです。
インド医学と中国医学、ヨガと道教などの考え方もそれぞれ近いものがあります。これらの関係も興味深いですね。
道教にある三尸(さんし)九虫(きゅうちゅう)は人間を監視、コントロールしたり病気をおこすとされる想像上の虫や寄生虫などです。
そういえば猫から感染したトキソプラズマという寄生虫が人間をコントロールしているかもという説がありました。
日本の戦国時代に書かれた針聞書(茨木元行・1568年)という本には独自のユニークな虫が描かれています。小児の疳の虫(かんのむし)は有名ですね。