2023年9月28日木曜日

管鍼(くだばり・かんしん) 杉山流(杉山真伝流)④

鍼を皮膚に刺す古来からの手法に、鍼を片手に持ち捻りながら刺入する撚鍼法(ねんしんほう)と呼ばれるものがあります。日本では撚針(ひねりばり)と呼ばれていました。



現在の日本では鍼を刺すとき、筒状の管(鍼管・しんかん)を用いる管鍼法(かんしんほう)が主流になっています。これは日本で生まれた独自の道具と技術です。



この鍼管を創案した(ご神託を得た)のは杉山和一とされていますが、

「入江流には「図檀掛」(ずだんがけ)と呼ばれる筒(竹筒と推測される)を用いる鍼術の技法が存在していました。そのため、杉山和一が、管を用いて刺針を行った最初の人物であるということではない可能性が指摘されています。」

(日本鍼灸の極意 管鍼法 北川毅著 大浦慈観監修 BABジャパン) 100ページ


杉山和一が学んだとされる入江流に、既に鍼管にあたるものがあったようです。この鍼管(鍼管自体の工夫も)を用いた多彩な技法を創案したのが杉山和一となります。

その技法は当時、京都方面で盛んであった槌(つち)を用いる、これもまた日本独自の打鍼(うちばり・だしん)の影響もみられるようです。



上の3図は江戸中期(1718年)に出版された鍼灸重宝記綱目です。この本は当時の鍼灸家に広く流布されたようです。著者は打鍼の系譜にあたる本郷正豊(ほんごうまさとよ)です。

(本書では撚針には「針」、打鍼、管鍼は「鍼」の漢字が使われていますね。)

〇参考文献 針灸の歴史 小曽戸洋・天野陽介著 大修館書店