2023年12月18日月曜日

お灸の再生


鍼灸OSAKA(森ノ宮医療学園出版部)111号(2013年)


口絵にある江戸時代の資料、「鍼具見本帳」は鍼灸各流派の鍼が絵で描かれていて大変貴重ですね(110号から112号まで掲載)。日本人の技術とその道具に対するこだわりが、鍼灸の世界からも伝わってきます。

はりきゅうWebミュージアム 森ノ宮医療大学



以下は気になった部分の忘備をかねたメモです。

〇多様な灸からびわの葉灸へ 猪飼祥夫

本朝食鑑(元禄10年・1697年)附録に「中を豊かに、両頭を尖らして作りて」…これを撚灸(ひねりやいと)という。今日の学校では三角形(円錐)に作っている。

お寺が医療施設であった時代は長い。奈良の悲田院、施薬院など。中には信仰に使われる焙烙灸や砂場灸なども。 

びわの葉灸は二系統の伝承が。

①江戸期後半、長蓮寺(栃木)②大正末頃から、金地院(静岡)
さらに大阪、無量寺にも起源伝説がある。 


〇「艾灸通説」 について宮川浩也先生に聞く 宮川浩也 聞き手 猪飼祥夫

「艾灸通説」後藤椿庵(1696~1738年)著 宝暦12年(1762年)に刊行

父である、一気留滞説を唱えた後藤艮山(1659~1733年)の医説を展開したもの。
 
伝統的には大きな艾を少なくすえるのが一般的だったが、後藤流では小さな艾炷をたくさんすえる方法を用いた。皮膚への接触面を少なくする紡錘形に(上記、本朝食鑑と同じ)。

江戸時代に使われていた灸箸(やいとばし)現在は大阪のナガトヤ灸で使用されている。灸箸は古典文献に記載なく、岡本一抱(1665~1716頃)著、灸法口訣指南にすこし解説がある。

白隠禅師の書いた「お福御灸図」に灸箸が。

お灸の補瀉 霊枢から朱丹渓(1281~1358)、「艾灸通説」とそれぞれの方法について。

「医学正伝」虞博(1468~1517) では身体が自然に良い方向に整えるのであって、施灸方法に補瀉は無いと。無分流は、この説を引いて「鍼には補瀉はない」と展開している。
  
豪鍼はヤマアラシの毛を使っていたか。

〇透熱灸治療へ~古法灸療法 有留秀雄

鍼 急性症 神経系 灸 慢性症 血液 

捻挫による急性痛 負傷筋繊維による負傷電流 鍼によるアース作用
関節などの長期炎症 膠質変性 灸により治癒