2022年1月22日土曜日

中医学(現代中医学)

中医学は現代中医学とも呼ばれ、中国で新たにまとめられ創成されたもので、かつての伝統的な中国医学や中国医学の古典とも違うものです。

現在、日本では中国伝統医学を略して中医学と説明したり、この中医学という言葉自体が曖昧なまま使用されてしまっています。

最近は一般の人向けの、イラストも多い東洋医学(中医学)の入門書も多く出版されています。ただこれらの優しく書かれた入門書でも、なぜか中医学の理論は読めば読むほど解らなくなります。

なぜでしょうか?私だけ?

「医道の日本」誌の中で篠原孝市先生が中医学について解説されていました。


医道の日本 2017年12月号 臨床に生かす古典、日中 篠原孝市著 医道の日本社

「…いうまでもなく、古典的な鍼灸は中国由来であるが、私は最初から「中国が鍼灸の本場」「中医学が世界標準」とは考えなかった。これは前述の1970年代の中医鍼灸の実態からすれば当然であった…」150ページ

「…中医学書は公教育のための教材として編纂されているから、伝統的な中国医学の持つ歴史的、地理的な違いから来る種々の差異や矛盾をすべて消し去って、綺麗に整序してしまっており、理論の典拠はもちろん、要約の経過も分からない…」150ページ


中医学は1970年代(後半か)に中国の国家主導で新たに作られ始めたものですが、成立意図や過程などが現在も公開されてい無いそうです。

私も学生時代にこの中医学を習いましたが、その時からこの内容に非常に違和感を感じました。私だけ?かもしれませんが…。

そして、なぜかこの中医学が年々、日本の鍼灸学校の教科書や授業に浸透し影響が強くなってしまっているようです。

「…現在の(日本鍼灸)の問題について指摘しておきたい。それは(日本鍼灸)の教科書と各種の辞典への中医学の浸透である。教科書が概ね中医学に傾斜していってることは周知の通りである。

(中略)きつい言い方をすれば、戦わずして中医学の軍門に下がった日本鍼灸の姿がここにある。この実情を放置したままで、(日本鍼灸)を主張しても仕方がない。(日本鍼灸の世界への発信)、そのためにはまず日本の鍼灸自体が、もっと自立することが必要ではないだろうか…」151ページ

理論の典拠はもちろん要約の経過も分からないという(個人的には理解もしにくい)、この中医学を日本の鍼灸学校がなぜここまで傾斜して取り入れているのかは不明です。